日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】姫斬り

姫斬り 刀の異名です。 1.源頼光が唐からきた武悪太夫という名工に作らせた、朝霞の後の名です。八幡太郎義家が相伝したころは、毒蛇と改名されていました。義家が馬で宇治橋を渡っていると、突然、波の間から妙齢の美女が現われ、義家を河中に引きずり込も…

【刀剣紹介】日根野志津

日根野志津 信州高島(長野県諏訪市)城主・日根野織部正高吉の佩刀です。高吉は甲冑の大家で、日根野錣・日根野頭形・日根野饅頭などの名称が残っています。 刃長二尺二寸五分(約六八・二センチ)、反り浅く、地鉄は地沸えつき美しく、刃文は小五の目乱れで、…

【刀剣紹介】一言同田貫

一言同田貫 肥後の同田貫正国作の刀の異名です。安永八年(一七七九)十二月、旗本の窪田某が、銘を当てたら進呈する、と言って出した刀を、兵学者の平山子竜が、同田貫正国、と当ててしまいました。窪田某は、武士に二言なし、とこれを与えるとともに、「一言…

【刀剣紹介】初元結

初元結 寛文(一六六一)ごろの豊後国高田長左衛門守行作の刀の異名です。出雲国松江城主・松平出羽守斉貴が、文政九年(一八二六)二月二十五日、将軍家斉の前で元服した時、拝領したものです。初元結とは昔公家で元服の時、髪を結んだ紫色の組み紐のことだった…

【刀剣紹介】腹切り九郎次郎

腹切り九郎次郎 腹を切った相州広光です。文明(一四六九)ごろの九郎次郎広光は、広光の刀で「太田道灌が子細ニ依テ自害」したため、この異名をもって呼ばれました。道灌が上杉定正に謀殺されたのは、文明十八年(一四八六)七月二十六日のことです。「子細」と…

【刀剣紹介】花形見

花形見 刀の異名です。 刃長七寸九分(約二三・九センチ)の短刀で、差し表に素剣、裏に腰樋があって、差し表に「兼氏」と在銘、裏に「花形見」と金象嵌入る。重要美術品。花形見は花籠のこと。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】般若剣

般若剣 1.島津家伝来の短刀です。十四代勝久の孫・藤野秀久が伝持していたものを、勝久の養子で、十五代目を継いだ貴久に贈ったものです。 刃長五寸八分(約一七・六セ ンチ)、波平行安の作。第二次大戦で戦災焼失。 2.奥州守山藩主・松平頼貞の作刀に、「般…

【刀剣紹介】初桜吉光

初桜吉光 周防山口城主・大内家重代の刀、というが、尼子興久の初桜と同物でしょう。吉光の作といいます。その吉光は粟田口吉光のことでしょう。大内義長は弘治三年(一五五七)四月二日、毛利元就に敗れ、長福寺に入って自殺するとき、大内家重代の歌館の茶入…

【刀剣紹介】初桜

初桜 雲州富田城主・尼子経久の三男・宮内大輔興久の佩刀、作者不明です。富田城の桜の間・柳の間に化物が出て人を悩ますので、興久が、退治してくれ、と待ち受けていると、丑三つ時に老婆が二児を連れて現れました。老婆の命で一児が興久の膝もとに来たので…

【刀剣紹介】刃折れ刀

刃折れ刀 薩摩の桐野利秋の差料、相州の清水久義の作です。利秋が明治元年五月、彰義隊との開戦の前日、単身で神田三河町(千代田区)を歩いているところを、彰義隊の鈴木隼人ら数名に襲われた時の差料です。利秋は中村半次郎と変名、薬丸自現流を修めるととも…

【刀剣紹介】蜂屋江

蜂屋江 『享保名物帳』 焼失之部所載、相州正宗作の刀です。もと越前敦賀城主・蜂屋出羽守頼隆所持でした。 豊臣秀次に献上、さらに秀吉から秀頼に伝わり、三之箱に納められました。慶長十六年(一六一一)正月、本阿弥光徳に命じて磨り上げさせ、埋忠寿斎に金…

【刀剣紹介】八町念仏

八町念仏 刀の異名です。雑賀孫市こと鈴木重朝の佩刀です。月の夜、ある者を袈裟斬りにしたところ、八町も念仏を唱えながら行ったあと、倒れたという伝説のある刀です。孫市はのち徳川家康に仕え、水戸の頼房付きとなったので、幕末まで子孫の家に伝来してい…

【刀剣紹介】八樋正宗

八樋正宗 刀の異名、相州正宗の作です。初め織田信定所持でした。それから孫の信長に伝えられ、信長はこれを弟・信行の子・津田信澄に与えました。信澄は明智光秀の女婿だったので、本能寺の変で信長の三男・信孝に殺されました。その後は行方不明です。 参…

【刀剣紹介】八幡の利剣

八幡の利剣 長曽我部元親の陣刀です。真盛の作というが、真守の誤記でしょう。天正三年(一五七五)の春、元親が前夜見た夢の占いを、八幡宮の左近という神主にさせたところ、今年出陣したら、向こうところ敵なしでござろう、と答えました。喜んだ元親は酒宴を…

【刀剣紹介】濡れ衣

濡れ衣 刀の異名です。 1.大口屋暁雨の差料 暁雨は江戸中期、侠客として、また十八大通の一人として有名な札差です。雨降りの夜、蔵前から吉原へ通う途中、聖天町(台東区浅草七丁目)の西方寺(俗称 土手の道哲)付近の土手で、鉦をならし念仏を唱えている道心…

【刀剣紹介】猫丸

猫丸 刀の異名です。抜身で立てかけてあったのに、鼠を追ってきた猫が衝突、真っ二つになったための命名といいます。作者については、菅原道真の作とする説が多いが、河内有成説・河内有氏説・千手院道明説などもあります。しかし、この太刀は幕末まで京都の…

【刀剣紹介】念仏刀

念仏刀 刀の異名です。江州の浅井長政の家臣・百々内蔵助所持でした。罪人を試し斬りしたら、切り口が吸いついて離れず、念仏を高らかに唱えたあと、ようやく二つに分かれたので、念仏刀という異名がつきました。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】野狐丸

野狐丸 刀の異名です。出羽の豪族で、由利十二党の一である矢島家伝来でした。先祖の矢島清兵衛が二十四、五歳のころ、秋田郡岩城(秋田市)において、狐に化かされ、周囲が見る見る川になった時、腰の古備前友成が、かってに抜け出し、白狐の首を切り落として…

【刀剣紹介】新納光世

新納光世 新納武蔵守忠元の佩刀です。忠元は薩州島津家の勇将で、鬼武蔵といわれました。慶長十五年(一六一〇)没、八十五歳でした。新納家より神社に奉納してあったものが、明治十年の役のとき持ち出され、鹿児島市内の貴島某が入手しました。それを西郷従道…

【刀剣紹介】西方江

西方江 『享保名物帳』焼失之部所載、越中郷義弘作の刀です。これはもと刀剣の大家だった三好下野入道釣閑斎所持でした。下野入道は永禄十二年(一五六九)、京都六条の戦に敗れ、失脚しました。それでこれを、泉州堺の西方という豪商に売りました。当時、堺で…

【刀剣紹介】にっかり長光

にっかり長光 刀の異名です。備前岡山城主・宇喜多秀家の足軽が、夜道を歩いていると、火炎を背におった仏様が、にっこり笑いながら近づいてきました。化物と直感した足軽は、備前長光の一刀を抜いて、切りつけました。翌日そこに行ってみると、路傍の石の不…

【刀剣紹介】日光長光

日光長光 備前長船の二代長光の別称です。遠州浜松城主・堀尾忠氏は、慶長五年(一六〇〇)七 月、上杉討伐に向かう徳川家康に従い、野州小山にあったとき、妹の婿に家康の近臣を賜りたい、と願いでました。家康は相州小田原城主・大久保忠隣の次男・忠紀を指…

【刀剣紹介】入道拗切り

入道拗切り 筑前左文字の刀の異名です。もと筑前福岡藩主・黒田家で、入道した者をねじ斬りしたからでしょう。「入道拗切り」という異名のついた刀を、若州小浜城主・酒井忠勝に贈りました。孫の忠隆が差料にするため、試させたところ、見事に一ノ胴を落とし…

【刀剣紹介】韮山則重

韮山則重 出羽国山形城主・最上家親が、大坂冬の陣のさい江戸の留守役を命じられ、手落ちのなかったことを賞し、翌元和元年(一六一五)、将軍より下賜された則重の刀の異名です。最上家はその子・義後のとき、改易になったので、本刀も同家を出たことでしょう…

【刀剣紹介】鳴神兼定

鳴神兼定 濃州関住和泉守兼定の刀の異名です。徳川家康の異父弟で、伏見城代の松平定勝が元和元年(一六一五)、大坂の夏の陣で、この刀を揮って功をたてた、というが、大坂の役では両度とも、伏見城の守護に当たり、奮闘する機会はありませんでした。その娘が…

【刀剣紹介】友切丸

友切丸 名剣の名です。 1.源氏の重宝・髭切りの異名。 2.古剣書の所説 三条宗近の作という。 3.江戸城紅葉山宝蔵の刀 刃長二尺三寸(約六九・七センチ)、金拵え付き、源頼朝の佩刀という伝来になっていた。 4.戯曲の友切丸 曽我狂言は人気があったので、多く…

【刀剣紹介】虎御前

虎御前 刀の異名です。豊臣秀吉の智将・竹中半兵衛重治の差料でした。戦場に赴くときも、これを打刀のように腰にさしていました。備前元重の作です。虎御前とは虎御前山のことでしょう。滋賀県東浅井郡虎姫町にある山で、現在は虎姫山の名で通っています。浅…

【刀剣紹介】蜻蛉之太刀

蜻蛉之太刀 刀の異名です。紀州熊野の豪族・湯川家に伝来しました。同家は若州武田家の一族で、先祖は朝廷守護のため、三年ずつ在勤していたので、その時、朝廷より拝領というが、年代は不明です。刀銘も不明です。拵えに蜻蛉の文様があったための命名でしょ…

【刀剣紹介】永井正宗

永井正宗 相州正宗の作です。永井善左衛門道存はもと徳川譜代の臣だったが、小田原征伐のあと、蒲生家や上杉家に仕えたのち、浪人して武州深谷にいました。友人の京都所司代・板倉勝重は、徳川家康が上洛した機会に引き合わせ、帰参させようと計画し、道存を…

【刀剣紹介】灯台切り

灯台切り 1.丹後宮津城主・京極家伝来、濃州久勝の刀です。もと京極高知の差料でした。それが高知の三男・高三に与えられ、以後、高直・高盛をへて、高盛の三男・高門に伝わったものです。高門は二千石の旗本で、享保六年(一七二一)没しました。 刃長二尺一…