日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】新納光世

新納光世

新納武蔵守忠元の佩刀です。忠元は薩州島津家の勇将で、鬼武蔵といわれました。慶長十五年(一六一〇)没、八十五歳でした。新納家より神社に奉納してあったものが、明治十年の役のとき持ち出され、鹿児島市内の貴島某が入手しました。それを西郷従道侯爵が譲りうけ、のち岩崎男爵家に贈り、終戦後、同家を出ました。

刃長二尺三寸一分(約七〇・〇センチ)、元幅一寸八厘(約三・三センチ)という健全な姿で、表裏に棒樋をかき通す。地鉄は板目肌つまり地沸えつく。刃文はもと小乱れ、上に行くに従い大模様の乱れとなる。鋩子は乱れ込んで尖り、僅かに返る。中心は大磨り上げ、目釘孔三個。筑後の三池光世という伝称は、幅広の樋からの鑑定であろうが、刃文が先に行って大乱れになっている点に留意して、相州系の名工の作とみるべきである。

参考文献:日本刀大百科事典