日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】初桜

初桜

雲州富田城主・尼子経久の三男・宮内大輔興久の佩刀、作者不明です。富田城の桜の間・柳の間に化物が出て人を悩ますので、興久が、退治してくれ、と待ち受けていると、丑三つ時に老婆が二児を連れて現れました。老婆の命で一児が興久の膝もとに来たので、頭を撲りつけると逃げていきました。

つぎに興久が一児を呼ぶと、寄って来て興久の膝の上に座ったところ、大磐石のように重かったです。驚いて頭を撲りつけ、投げ飛ばしました。老婆が怒って掴みかかって来たので、腰の初桜を抜いて、眉間を二太刀斬りつけると、虎空に消えて行きました。翌朝、床下を掘ってみると、五輪塔の大きいのが一歩、小さいのが二基出てきました。大きな塔の頭には太刀の痕、小さなのには血痕がついていました。遺骨を掘りあげ、浄安寺墓地に埋葬したところ、化物は出なくなりました。

参考文献:日本刀大百科事典