日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】刃折れ刀

刃折れ刀

薩摩の桐野利秋の差料、相州の清水久義の作です。利秋が明治元年五月、彰義隊との開戦の前日、単身で神田三河町(千代田区)を歩いているところを、彰義隊鈴木隼人ら数名に襲われた時の差料です。利秋は中村半次郎と変名、薬丸自現流を修めるとともに、居合いは中村流を開いたほどの達人でした。佩刀の久義も刃長二尺(約六〇・六センチ)、という居合い向きのものだったが、これで強敵を払いのけ、危機脱出に成功しました。その時の奮戦ぶりを如実に示す刃こぼれが、刃全体に残っていたので、人呼んで「刃折れ刀」といい、戦前から鹿児島の南洲神社宝物殿に陳列されていました。

参考文献:日本刀大百科事典