日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】紅葉狩り

紅葉狩り 加藤清正の佩刀、備前長船兼光作、三尺三寸(約一〇〇センチ)の太刀の異名です。朝鮮における虎狩りのさい、それで虎の首を切り落としたといいます。江戸城の石垣用として、肥後から巨石を献上したさ い、清正は三尺三寸の兼光を指し、手に扇をもっ…

【刀剣紹介】村雲江

村雲江 『享保名物帳』の原本にはなく、後世に追記したものです。越中の郷義弘極めの刀です。本阿弥光徳が江州から取り出してきて、豊臣秀吉に見せたところ、村雲のような刃文だ、と言ったので、それが刀号となりました。それが加賀の前田家に伝来していて、…

【刀剣紹介】村雨

村雨 刀の号です。日置流弓術の秘伝・村雨が、葉末においた朝露に、村雨がさっと降りかかると、露がころりと落ちる、あるいは村雨の風で、草木がばっと分かれる説明されているように、この刀で斬れば、首がころりと落ちる、あるいは体がばっと二つに分かれる…

【刀剣紹介】名家桜

名家桜 大和守元平作の短刀の号です。 差し表に「奥大和守平朝臣元平 文政辛巳春 行年七十八歳」、 裏に「文化因子夏 公女郁君入典子近衛忠熙卿時 盛美從左府基前公 祝賜方金因以造之」、棟に「名家桜 従二位光実」と切る。 郁君とは薩摩藩主・島津斉興の養…

【刀剣紹介】目眠り刀

目眠り刀 上州大胡(群馬県勢多郡大胡町)城主・牧野讃岐守康成の蔵刀です。大和の保昌貞吉極めの刀です。康成がまだ三河にいた時分、売物にきたこの刀を、徳川家康に見せたところ、よく切れる。買っておけ、と言いました。それで買っておくと、試し切りのある…

【刀剣紹介】面の薙刀

面の薙刀 細川忠興(三斎)の薙刀です。天正八年(一五八〇)、丹後十二万石を与えられた忠興は、旧領主・一色家のうち、最後まで抵抗する義有(義定・義俊)に、九年(一五八 二)五月、妹を与えて懐柔した後、十年(一五八二)九月八日、居城・八幡山によび、饗応の…

【刀剣紹介】武蔵野

武蔵野 鈴木正雄作刀の号です。 刃長二尺四寸八分(約七五・一センチ)、刃文は中直刃。銘は差し表に、「文久三年二月 東都剣工源正雄」、裏 に「蝦夷の南海宇賀浦の砂鉄以て 武蔵国江戸に於て造り むさし野と名付」と切る。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】村雲久国

村雲久国 『享保名物帳』焼失之部所載、粟田口久国作の太刀です。もと関白秀次の母の守り刀です。秀次の菩提を弔うため、文禄五年(一五九六)、瑞竜寺を今の京都市上京区竪門前町に建てました。その付近を村雲というので、俗に村雲御所と呼ばれました。出家し…

【刀剣紹介】村雲丸

村雲丸 粟田口久国作の太刀です。 佩き表に「藤次郎久国」、裏に「村雲丸」と切る。中心は初めうぶで、目釘孔も一個の、のち雉子股になおされ、目釘孔も二個に増えている。これと「享保名物」の村雲久国とは、別物であろう。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】陸奥新藤五

陸奥新藤五 『享保名物帳』所載、相州の新藤五国光作の短刀です。もと会津城主・蒲生氏郷所持でした。それから子の秀行、孫の忠郷に伝わりました。忠郷はわずか十歳で藩主となり、老臣・森川半弥の輔導をうけていたので、これを半弥に与えました。忠郷が寛永…

【刀剣紹介】六つ股長義

六つ股長義 相州小田原城主・大久保家伝来、備前長船長義作の刀です。徳川家康は天正二年(一五七四)四月、遠州犬居(静岡県周智郡春野町)の城主・天野景貫が、武田方だったので、これを攻略すべく軍を出したが、犬居の南を流れる気田川が増水して渡河できませ…

【刀剣紹介】向井国広

向井国広 江戸幕府の船奉行・向井忠勝所持、堀川国広作の脇差です。 刀長一尺二分(約三〇・九センチ)、平造り。地鉄は小板目肌詰まり、地沸えつく。刃文は中直刃、小沸え出来。鋩子小丸。差し表に杖、裏には樋のなかに、払子の浮き彫り。その下に「錯凌臓雪…

【刀剣紹介】蜈蚣切り

蜈蚣切り 俵藤太秀郷こと藤原秀郷が蜈蚣(百足)を切った、という伝説のある太刀です。琵琶湖にすむ竜神から、江州野洲郡の三上山、または滋賀郡の比良山にすむ蜈蚣に、夜な夜な悩まされるので、退治してくれ、と頼まれました。承諾して、竜神のいる湖底の竜宮…

【刀剣紹介】百足丸

百足丸 刀の異名です。 1.小田原北条氏の子孫で、のち幕臣となった北条家伝来です。 刃長二尺四寸七分(約七四・八センチ)。表裏に棒樋をかき、佩き表の樋のなかに、「大悲多門天」と彫る。刃文は五の目丁子乱れ。中心はうぶ。佩き表に「備州長船秀光」、裏に…

【刀剣紹介】むき物安吉

むき物安吉 薩州島津家伝来です。 刃長九寸三分(約二八・二センチ)、「安吉」と在銘。もと藩主のお側に置いてあったもの。異名の意味は不詳。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】麦作り

麦作り 古備前恒則の刀の異名です。源頼朝が治承四年(一一八〇)、兵をあげた時、佐々木秀義の六男・吉田厳秀は、まだ少年だったが、相州足柄郡土肥郷の相山において、頼朝の軍に加わりました。それを賞して、頼朝が与えたものです。あるいは菱作りの誤写かも…

【刀剣紹介】蜈蚣槍

蜈蚣槍 旗本の水野十郎左衛門家伝来の槍の異名です。濃州関の兼光作の大身槍です。十郎左衛門成之の弟・又八郎忠丘家の所伝によれば、幡随院長兵衛は水野家の風呂に入るときも、刀を浴室に持ちこみ、床に敷いてあった酒弧の下にかくしました。 それをのぞき…

【刀剣紹介】三好正宗

三好正宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗在銘の短刀です。越後国刈羽郡三島郷(新潟県柏崎市)の郷士・三島典膳が、わざわざ相州鎌倉に行って造らせたもの、という話があるが、これは後世の創作です。三好長慶が本阿弥光利の取り次ぎで、金十六枚で入手…

【刀剣紹介】向井青江

向井青江 江戸幕府の船奉行・向井家伝来の備中青江の刀です。天正十一年(一五八三)、北条方の城攻めのさい、向井兵庫頭正綱は、北条方の鈴木弾次郎と刀をまじえ、上顎から下歯にかけて、見事に切り落としました。家康もその刀を見て、切れ味に驚きました。そ…

【刀剣紹介】三好江

三好江 1.『享保名物帳』焼失之部所載、越中の郷義弘極めの太刀です。三好長慶旧蔵といいます。三好重代の郷義弘の太刀は、刃長二尺六寸五分(約八〇・三センチ)ありました。三好郷はこれを磨り上げたものでしょう。 豊臣秀吉が天正十三年(一五八五)、紀州名…

【刀剣紹介】乱れ髪一文字

乱れ髪一文字 安芸の厳島神社の宝刀です。 刃長一尺五寸四分(約四六・七センチ)、菖蒲造り、無銘。戦国期の小さ刀拵え付き。柄は金の打ち出し較、目貫は金無垢の竜、柄糸は茶色で平巻き、頭は角、縁は赤銅で樋形、鎺は一重の金で縦筋入る。栗形と返り角も金…

【刀剣紹介】三寅丸

三寅丸 菅恒の刀の異名です。万寿三年(一〇二六)作の太刀の銘に、「寅年寅日寅時三月三日 菅恒」とありました。源頼朝が伊豆国田中(静岡県田方郡大仁町)において、伊豆山権現(熱海市伊豆山)から授けられたといいます。菅恒の住地については、山城・丹波とも…

【刀剣紹介】翠丸

翠丸 備前兼光作の太刀の異名です。越後国三島郡長峰山(新潟県長岡市長峰町)の城主・新田氏の一族に伝来したものが、同郡富岡村(長岡市富岡町)の遠藤孫兵衛の祖先の手に渡りました。それを宝暦十二年(一七六二)、長岡藩主の牧野家が金百両で召し上げ、褒美と…

【刀剣紹介】蓑丸兼光

蓑丸兼光 征西将軍・懐良親王の佩刀、という伝説の太刀です。九州の旧家に伝来していた時分は、蓑に包んで家の棟木にくくり付けてあった、というので、蓑丸の号がつけられました。古い山金の太刀拵え付きです。 刃長二尺八寸(約八四・九センチ)くらい、刃文…

【刀剣紹介】美濃屋正宗

美濃屋正宗 紀州徳川家伝来、無銘相州正宗極め、刃長一尺六分(約三二・一センチ)、平造り、地鉄よく詰まり、大肌まじる。刃文は小沸えつき、匂い深く、砂流しかかり、金筋も入る。 もと伊予西条城主・松平頼淳の長女、鑑姫所持でした。鑑姫は寛政(一七八九)…

【刀剣紹介】水田長光

水田長光 筑後柳川城主・立花宗茂の旧蔵刀の異名です。征韓の役のさい、家臣の風斗就澄が敵兵を五人斬り、六人目に刀が折れました。それでも脇差をもって敵を倒しました。宗茂はそれを賞して、水田長光を与えました。その後、海戦のさい、水田長光をもって敵…

【刀剣紹介】微塵丸

微塵丸 曽我十郎祐成が仇討ちのときの佩刀です。建久四年(一一九三)五月、暇乞いのため箱根権現の別当、行実を訪ねたとき、行実が餞別として十郎に贈ったものです。十郎の討死後、源頼朝はこれを箱根権現に、再び寄進したものといい、刃長三尺三寸(約一〇〇…

【刀剣紹介】三浦来国光

三浦来国光 駿河御分物として尾州徳川家へ分与された脇差です。拵え付き、金五枚の折紙がつきます。本多上野介正純が徳川家康に献上したもので、刀号の三浦は、下総(千葉県)佐倉城主だった三浦監物重成のことでしょう。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】三日月一文字

三日月一文字 備前一文字の太刀です。寛正四年(一四六三)三月、細川成之らの軍勢が、将軍義政に追われた畠山義就の立てこもった、河内国錦部郡(大阪府南河内郡)の嶽山城を攻め落とした時、将軍義政は賞として、これを成之に与えました。成之はのちこれを将軍…

【刀剣紹介】見返り元重

見返り元重 備前長船元重作の刀です。 刃長二尺三寸一分五厘(約七一・一センチ)。直刃に小乱れまじりの刃文。中心に折り返し銘で、「備前国長船住元重」とあり、裏に「見返 昔某氏斬人某人顧而為二依名之 元禄二已夏熊本侯所贈於養世公今茲明治元辰秋授臣菅…