日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】見返り元重

見返り元重

備前長船元重作の刀です。

刃長二尺三寸一分五厘(約七一・一センチ)。直刃に小乱れまじりの刃文。中心に折り返し銘で、「備前国長船住元重」とあり、裏に「見返 昔某氏斬人某人顧而為二依名之 元禄二已夏熊本侯所贈於養世公今茲明治元辰秋授臣菅実秀忠篤」、と金象嵌入り。これで斬られた者が、後ろを振り返ったのち、二つになったところから、「見返」と命名したもの。

養世公とは出羽の鶴岡藩主・酒井忠義であるが、忠義は天和元年(一六八一)三月十九日、すでに死亡しているから、元禄二年(一六八九)に、これを熊本の細川家から贈られた、というのは不審です。 忠篤は最後の鶴岡藩主で、これを家来の菅実秀に与えたことになります。戦後、重要文化財に指定されていたが、昭和六十一年八月、盗難にありました。

参考文献:日本刀大百科事典