日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

刀剣紹介

【刀剣紹介】宝蔵院流薙刀

宝蔵院流薙刀 槍術の宝蔵院流でつかう薙刀です。宝蔵院流槍は、奈良の興福寺の子院・宝蔵院の院主だった覚禅坊法印胤栄が流祖です。胤栄は上泉伊勢守秀綱に剣法を、大膳太夫盛忠に槍術を学び、鎌槍をつかう一派を創始しました。ただし、『太平記』に出ている…

【刀剣紹介】疱瘡正宗

疱瘡正宗 元禄十六年(一七〇三)六月二十八日、伊勢の津(三重県津市)城主・藤堂高睦が襲封の礼として、将軍綱吉に献上していたものです。紀州徳川家の頼職が早世、弟の真方が襲封することになったので、将軍綱吉は片諱を与えて吉宗と改名させ、宝永二年(一七…

【刀剣紹介】疱瘡切丸

疱瘡切丸 奥平家昌が天正十九年(一五九一)十二月、元服の時、徳川家康より拝領、「備前国長船住守家造」と在銘、刃長二尺五寸二分(約七六・四センチ)の太刀。かつて疱瘡の神を斬った、という伝説からの命名。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】不動国行

不動国行 1.『享保名物帳』焼失之部所載、来国行作の小太刀、初め足利将軍家蔵でした。天文二十三年(一五五四)、狩野介が相州康春に模造させた刀銘には、「相州住康春作 不動国行之写 天文廿三年二月日 狩野介所持」とあります。狩野氏は伊豆国田方郡狩野郷…

【刀剣紹介】振分髪

振分髪 1.織田信長の差料 相州正宗の作、大磨り上げ無銘であるため、細川幽斎が、「くらべこし振分髪もかたすぎぬ 君ならずして誰かあぐべき」、という在原業平の歌から採って、名付けたものです。幕末には周防国岩国の吉川家に伝来していました。 刃長二尺…

【刀剣紹介】豊後藤四郎

豊後藤四郎 『享保名物帳』焼失之部所載、粟田口吉光作の短刀です。もと京都の醍醐寺門跡所蔵でした。同寺が庭園造築のさい、備前児島産の藤戸石が巨大すぎて、動かせなかった時、寛正三年(一四六二)十月以来、侍所所司代だった多賀豊後守高忠が、この脇差を…

【刀剣紹介】藤丸

藤丸 1.名刀の名です。奥州の文寿の作です。ただし、膝丸の誤写の疑いもあります。 2.足利将軍義昭の差料です。 中身は、刃長九寸三分五厘(約二八・三センチ)、「備州長船兼光 延文二年七月日」と在銘。合口拵えの刻み鞘が金時絵となり、それに藤の花が銀の…

【刀剣紹介】吉田山城来国光

吉田山城来国光 駿河御分物として尾州徳川家へ分与された脇差です。拵え付きで、金二十五両の折紙つきます。古田山城とは、茶人で、一万石の領主だった吉田織部正の子で、名は重嗣です。織部正が豊臣秀頼に内通していたとして、元和元年(一六一五)六月十一日…

【刀剣紹介】不動宗近

不動宗近 三条宗近作の太刀です。越後国蒲原郡奥山庄(新潟県北蒲原郡中条町・黒川村)の豪族、城太郎貞重(貞成の誤り)は、黒川村館の不動尊に宗近の太刀を奉納しました。その子孫の城太郎資持(小太郎資盛の誤り)は、建治元年(一二七五)四月、中条の鳥坂城によ…

【刀剣紹介】俘囚剣

俘囚剣 俘囚の帯びた剣、またはその様式の剣です。白河法皇が天治元年(一二二四)十月、紀州の高野山へ行幸のさい、左衛門督藤原朝臣がこれを帯びていたので、人々に奇異の感を抱かせたといいます。奥州の安倍氏や平泉の藤原氏時代、領内の鍛治は、いわゆる俘…

【刀剣紹介】風雷神虎徹

風雷神虎徹 風神と雷神の彫物のある長曽祢虎徹の脇差です。明治中期、東京浅草の北岡文兵衛所蔵でした。それから西垣四郎作・松平頼平子爵を経て、高橋箒庵入手しました。それを犬養木堂に贈りました。昭和十三年犬養健の名義で、重要美術品認定されました。…

【刀剣紹介】豊後来国光

豊後来国光 寛永十八年(一六四一)八月、後の四代将軍家綱の誕生を祝して、勢州桑名城主・松平定綱が献上しました。本阿弥家の金八枚の折紙付きです。のち家綱はこれを陣刀にし、目貫・縁・鍔に葵紋を据えました。寛文三年(一六六三)正月、老中の阿部豊後守忠…

【刀剣紹介】二筋樋正宗

二筋樋正宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗極めの短刀です。もと山名弾正所持といいます。山名家は山陰の豪族で、五代宗全のごときは、かの有名な応仁の乱の総大将でさえありました。山名家は初代・時氏を始め、弾正少弼を名乗った人が多いから、「山…

【刀剣紹介】福島兼光

福島兼光 『享保名物帳』追加之部所載、備前長船兼光作の太刀です。福島正則が広島城主だったころ、城下の本国寺(日蓮宗)の住持を処罰しました。その後、本刀が同寺にあることが分かり、正則が没収し、自分の佩刀にしたもの正則は元和元年(一六一五)城地を没…

【刀剣紹介】飛竜丸

飛竜丸 刀の異名です。京都の商人・瀬尾家伝来です。同家はもと土佐の住人で、長曽我部氏より拝領の飛竜丸という、伯耆安綱の太刀が伝来していました。明治初年、当主が道楽者で、飛竜丸も売り飛ばして、酒色に換えることを恐れたその母の未亡人は、時の京都…

【刀剣紹介】太栰正宗

太栰正宗 羽州米沢城主・上杉景勝の嗣子・定勝が、元和九年(一六二二)正月十三日、元服のとき、将軍秀忠より拝領した、相州正宗の太刀です。刃長二尺一寸一分(約六三・九センチ)、景勝三十五腰の一です。最後の藩主・上杉茂憲は明治元年、初め官軍に抗したが…

【刀剣紹介】二見左文字

二見左文字 細川幽斎の佩刀です。大磨り上げ無銘であるが、筑前の左文字の極めで、元禄元年(一六八八)千五百貫の折紙付きです。 刃長二尺三寸六分(約七一・五センチ)。刃文は浅い五の目乱れで、鋩子掃き掛ける。中心は目釘孔三個。 参考文献:日本刀大百科事…

【刀剣紹介】放下通し吉光

放下通し吉光 粟田口吉光作の槍の異名です。若州氏家家蔵でした。 裏は平造りで、棒樋をかくが、表は不明。刃文は直刃。「吉光」と在銘。放下師を突き通したための異名であろう。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】豊後来国次

豊後来国次 『享保名物帳』追記之部所載、来国次作の短刀です。豊臣秀吉から豊後の大友に下さる、というから、大友宗麟が天正十四年(一五八六)四月、大坂にのぼり秀吉に援助を乞うた時、秀吉は脇差を与えています。それがこの来国次のはずです。徳川家康が文…

【刀剣紹介】鳳凰丸

鳳凰丸 南朝の忠臣・北畠親房家伝来の太刀です。 刃長二尺八寸(約八四・九センチ)。親房は吉野の賀名生の行在所に、これを携行していた。これを大炊御門冬信の佩刀、とするのは誤り。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】福島光忠

福島光忠 『享保名物帳』所載、備前長船光忠作の太刀です。もと福島正則の佩刀です。正則の四男・正利が寛永元年(一六二四)七月十三日、父の遺物として将軍に献上した「大光忠」とは、本刀のことでしょう。『享保名物帳』編集のころ、常州茨城郡宍戸(茨城県…

【刀剣紹介】不動丸

不動丸 大久保石見守長安の刀です。武州下原照重の篆書体の銘で、刃長二尺一寸六分(約六五・四センチ)の刀に、「比刀去慶長ノ頃大久保石見守 号不動丸□指領タリ 爾後三拾余年ヲヘテ正保内皮曆 甲府在番ノ時 不計為得求之 渡辺久左衛門尉源朝臣善光所持」、と…

【刀剣紹介】兵庫守家

兵庫守家 丸毛光兼の佩刀、備前の畠田守家作の太刀です。光兼は長照・長住ともいい、号は不白です。兵庫頭、のち河内守と称しました。初め斎藤竜興に仕え、のち織田信長、さらに豊臣秀吉に仕え、天正十七年(一五八九)、濃州安八郡福束城主、二万石に封じられ…

【刀剣紹介】姫斬り

姫斬り 刀の異名です。 1.源頼光が唐からきた武悪太夫という名工に作らせた、朝霞の後の名です。八幡太郎義家が相伝したころは、毒蛇と改名されていました。義家が馬で宇治橋を渡っていると、突然、波の間から妙齢の美女が現われ、義家を河中に引きずり込も…

【刀剣紹介】日根野志津

日根野志津 信州高島(長野県諏訪市)城主・日根野織部正高吉の佩刀です。高吉は甲冑の大家で、日根野錣・日根野頭形・日根野饅頭などの名称が残っています。 刃長二尺二寸五分(約六八・二センチ)、反り浅く、地鉄は地沸えつき美しく、刃文は小五の目乱れで、…

【刀剣紹介】一言同田貫

一言同田貫 肥後の同田貫正国作の刀の異名です。安永八年(一七七九)十二月、旗本の窪田某が、銘を当てたら進呈する、と言って出した刀を、兵学者の平山子竜が、同田貫正国、と当ててしまいました。窪田某は、武士に二言なし、とこれを与えるとともに、「一言…

【刀剣紹介】人数国次

人数国次 阿波の細川家の重宝です。どこの国次か不明であるが、おそらく来国次の作でしょう。細川頼春が正平七年(一三五二)閏二月、楠正儀らの軍に敗れ、討死した時、たまたま家臣の町田・筒井・湯浅・河端らは、この太刀を携行し、上京中であったが、主君討…

【刀剣紹介】常陸江

常陸江 『享保名物帳』焼失之部所載、越中の郷義弘作の太刀です。もと木村常陸介重茲所持でした。常陸介は山城淀城主で、関白秀次の家老だった関係で、秀次と同罪として、文禄四年(一五九五)七月十五日、摂津茨木の大門寺で自尽しました。本刀は常陸介が豊臣…

【刀剣紹介】毘沙門形槍

毘沙門形槍 毘沙門天(多聞天)の持っている矛に似た十文字槍です。藤枝英一によれば、穂の長さは五寸五分(約一六・七センチ)、鎌の長さは三寸~三寸三分(約九・一~一〇・〇センチ)が標準で、横出した二本の鎌は、上向きになる、とするが、相州泰春の永禄十一…

【刀剣紹介】肥後江

肥後江 『享保名物帳』焼失之部所載、越中郷義弘作の太刀です。ただし無銘です。本阿弥光塔の取り次ぎで、肥後国熊本城主・加藤清正がが千五百貫で買ったものです。それで熊本江ともいいます。清正の娘(瑤泉院)は慶長八年(一六〇三)、徳川家康の命により、紀…