豊後来国光
寛永十八年(一六四一)八月、後の四代将軍家綱の誕生を祝して、勢州桑名城主・松平定綱が献上しました。本阿弥家の金八枚の折紙付きです。のち家綱はこれを陣刀にし、目貫・縁・鍔に葵紋を据えました。寛文三年(一六六三)正月、老中の阿部豊後守忠秋が拝領し、以後、同家の重宝となりました。
刃長二尺七寸九分(約八四・五センチ)、反り九分(約二・七センチ)、表裏に二筋樋をかく。地鉄は小板目肌、細かな地沸えつく。刃文はもと小丁子乱れ、上に行くに従い、直刃に足・葉入りとなる。鋩子は小丸。中心はうぶ、目釘孔一個、「来国光」と三字銘に、「豊後拝領」と朱銘入る。
参考文献:日本刀大百科事典