【刀剣紹介】母子丸
母子丸
名刀の異名です。謡曲『紅葉狩』の主人公にもなっている、余五将軍・平維茂の佩刀です。母子丸は慕狐丸の宛て字かともいいます。維茂の八代の孫・平長茂は、文治(一一八五)ごろの人であるが、生まれるとすぐ行方不明になりました。四年後に狐塚、つまり狐のいる穴の中で発見されました。連れ帰っていると、狐が老翁に化けてきて、刀や櫛を与えました。 こんな伝説のある刀を、長茂が伝持していました。この話から類推して、ボコは慕狐、つまり狐を慕う、という意味ではないかといいます。しかし、それは付会に過ぎます。享保名物の「親子藤四郎」から類推して、おそらく大小揃いだったことからの命名で、ハハコ丸とよむのでしょう。
参考文献:日本刀大百科事典