日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】星月夜正宗

星月夜正宗

武田信玄所持、相州正宗極めの脇差です。武田信玄が将軍・足利義輝より拝領、と伝えられるもので、武田家滅亡後、徳川家康が入手、それを六男の忠輝に与えました。忠輝が流罪になり、再び家康のもとに帰ってきました。それを十一男の頼房が拝領、以後同家に伝来していました。それが土浦藩主の土屋家に移った経緯については、万延元年(一八六〇)八月、水戸斉昭が逝去、その形見として、斉昭とは従兄弟にあたる土屋寅直に贈られたとも、斉昭の跡をついだ慶徳が、明治元年四月に逝去、その遺物として、実弟にあたる土屋挙直に贈られたともいいます。

刃長一尺九寸四分(約五八・八センチ)、豪壮な姿で、表裏に棒樋をかき流す。地鉄つまり地沸えつく。刃文は大五の目乱れで、砂流しかかり打ち除け、金筋などが多く、夜空の星を見る感じであるため、「星月夜」という異名がついたともいう。大磨り上げ無銘で、本阿弥家の代五千貫、相州正宗の添状がついているが、水戸藩では古くから正宗ではない。長谷部国重だろう、と言われていた。

参考文献:日本刀大百科事典