樋口藤四郎
『享保名物帳』焼失之部所載、粟田口吉光作の短刀です。樋口はヒノクチとよむのが正しいです。泉州堺の樋口屋という商人です。もとは肥前長崎の商人といいます。樋口屋所持の本刀を、石田三成が金十三枚で買い取り、天正(一五七三)ごろ豊臣秀次へ献上しました。それを京極高次が拝領し、子の忠高へ伝えました。忠高はそれを将軍家光へ献上しました。明暦三年(一六五七)正月十九日、江戸城炎上のさい焼失しました。
刃長八寸(約二四・二センチ)、直刃、鋩子は焼き詰めに近かった。中心はうぶ、目釘孔一個。本阿弥光心の「吉光」という朱銘があった。
参考文献:日本刀大百科事典