日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】塩河来国光

塩河来国光

享保名物帳』所載、京の来国光の短刀です。もと江州佐和山城主・石田三成の臣・塩川志摩か、播州明石城主・塩川信濃守かの所持といいます。埋忠家で金無垢の二重鎺を作りました。現在もそれがついていて、上貝に「うめたゝ 寿斎 彦一入」と銘があります。『埋忠押形』に中心の押形が出ているが、依頼主を記入していません。これは記入するほど高位の人でなかった証拠とも言えます。のち、播州姫路城主・本多家の有に帰し、天和二年(一六八二)四月、本阿弥家へやり、百枚の折紙をつけました。以後、同家に伝来、昭和十二年重要美術品の指定をうけました。現在は重要文化財です。

刃長八寸四分(約二五・五センチ)、真の棟、地鉄は小杢目肌、地沸えつく。 刃文は直刃に浅いの目乱れまじる。 差し表の鋩子は切れて円い飛び焼きになるが、裏は普通の小丸鋩子。中心はうぶの振り袖形。目釘孔四個。「来国光」と在銘だが、朽ち込み不鮮明。

参考文献:日本刀大百科事典