【刀剣紹介】蜘蛛切り丸
蜘蛛切り丸
1.熱田神宮の亀王吉光の剣です。蜘蛛切り丸といい、刃長一尺七寸(約五一・五センチ)、刀身の中ほどに巴紋の金象嵌があります。無銘です。刃長については一尺七寸三分(約五三・〇センチ)ともいいます。亀王吉光というのは、中心の差し裏に「亀王丸」と所持者の名が切りつけてありました。蜘蛛切りと呼ばれたことも同じです。しかし、熱田神宮蔵刀は無銘というから、別物でなければなりません。なお、一尺七寸という刃長からみて、熱田神宮蔵刀を粟田口吉光とするのは無理です。さらに、これを頼光所持の蜘蛛切りとする説があるが、それは疑問です。
2.『多賀谷七代記』の蜘蛛切り丸です。八幡太郎義家が奥州征伐のさい、阿武隈川まで来たところ、洪水で渡河できませんでした。そこで義家が蹲竜の旗を川岸にたて、源氏重代の蜘蛛切り丸を水上に浮かべて祈願したところ、旗が大きな竜と化し、橋のように川に横たわったので、義家はその上を渡ったという伝説があります。
参考文献:日本刀大百科事典