日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】蝦墓丸

蝦墓丸

新免弁助信盛の差料です。信盛は、二天流二世・寺尾信行の四男です。二天流の奥旨を極めたので、父から宮本武蔵の本姓・新免を名乗ることを許されたほどの達人です。八久保(熊本県菊池郡西合志町)にある寺尾家の耕地に、夜な夜な怪獣が出て、農作物を荒したが、下僕たちは恐れて行来ませんでした。時に延宝六年(一六七八)、弁助はまだ十三歳の少年だったが、自ら夜番を買ってでました。夜半、狂獣が枕もとに来たので、刀を抜いて斬りつけると、狂獣は逃げ去りました。翌朝、そばを流れている谷川に行って見ると、大きさな蝦墓が頭を斬られ、死んでいました。

刀は刃長一尺九寸五分(約五九・一センチ)、細身の古刀で無銘だったが、以後「暇墓丸」と名付けて、寺尾家の重代になった。

参考文献:日本刀大百科事典