日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】佐藤行光

佐藤行光

享保名物帳』所載、無銘相州行光極めの短刀です。もと佐藤勘右衛門堅忠所持でした。堅忠は初め豊臣秀吉、のち徳川家康に仕え知行千石です。慶長十七年(一六一二)没、 六十五歳でした。本刀は本阿弥が相州行光と鑑定、金百枚の折紙をつけたので、徳川家康が召し上げたものです。元和七年(一六一二)徳川頼宣が帰国のさい拝領しました。寛永二十年(一六四三)十一月、金百三十枚に昇格しました。承応三年(一六五四)十二月二十五日、頼宣の次男・頼純が左少将・左京大夫に叙任されたのを祝して、本刀を頼純に与えました。

頼純は寛文十年(一六七〇)伊予の西条藩主になり、以後、同家に伝来しました。昭和の初め、業者の斎藤栄寛が同家から購入し、同九年十月、水町袈裟六(枢密顧問官)家の入札のさい、それに差し入れ、業者の岸本貫之助氏が一七九八円で落札しました。翌十年、重要美術品に指定されました。

刃長八寸四分(約二五・四センチ)、無反り、平造り。大板目肌立ち、地沸えつく。刃文は大五の目乱れ。子小丸、返りは深い。拵えの金具は吉岡因幡介の作、しめ飾り鼠の図の三所物付く。鐔は赤銅の葵紋透し、鞘は呂色に葵紋崩しの蒔絵となる。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「佐藤行光」

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