日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】切羽貞宗

切羽貞宗

享保名物帳』焼失之部所載、相州貞宗作の脇差です。切刃貞宗とも書きます。五百枚の折紙付きです。もと明智日向守光秀の所持でした。のち豊臣秀吉の有に帰しました。大坂城では一之箱に入れてあったから、よほど大切にされたものと見えます。本阿弥光徳も本刀の刀絵図を描いています。二代将軍秀忠の遺物として、寛永九年(一六三二)正月二十五日、水戸頼房へ贈られました。頼房は本刀を長男で、讃岐の高松藩主となった頼重に与えました。現在もその子孫・松平頼明氏所蔵です。

刃長一尺五分(約三二・八センチ)、指し表は平造りで、素剣のうちに梵字を彫る。裏は切り刃造りで、腰樋を掻く。彫物は理忠寿斎がさらえたもの。地鉄は板目肌。刃文は、もと大五の目乱れで、特に裏には飛焼きまであった。大坂落城のさい焼け身となったものを、焼き直したため、彎れ風の直刃に変わっている。

参考文献:日本刀大百科事典