日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】御掘出し貞宗

御掘出し貞宗

享保名物帳』所載の太刀です。徳川家康関ヶ原合戦もすんだあと、伏見において入手したもので、本刀は相州正宗であろうと、自ら鑑定して、本阿弥光徳にみせたところ、その子・貞宗に極まりました。それで、これは掘り出しじゃのう、と喜んで、掘出し貞宗と命名しました。家康は元和二年(一六一六)四月八日、死期の迫ったのを知り、病床に前田利常をよび、本刀を形見として与えました。万治二年(一六五九)三千貫、寛文八年(一六六八)百五十枚の折紙付です。爾後、前田家に伝来していましたが、現在は所在不明です。

刃長二尺三寸一分(約七〇・〇センチ)、樋を表裏かき通す。刃文は直刃調の五の目乱れ、鋩子乱れ込んで小丸、わずかに返る。中心は大磨り上げ、無銘。目釘孔二個。

参考文献:日本刀大百科事典