【刀剣紹介】結城来国俊
結城来国俊
『享保名物帳』所載、来国俊作の短刀です。もと下総の結城家伝来です。徳川家康の次 男・秀康が、天正十八年(一五九〇)に、結城晴朝の養子となり、この短刀を継承しました。秀康が慶長十二年(一六〇七)に没すると、長男の松平忠直が継承しました。忠直は元和九年(一六二三)、豊後に流罪となりましたが、それ以前、京都に遊び、六条の傾城屋に本刀を与えました。
加賀の城主・前田利常が本刀を購入しました。寬文三年(一六六三)に、本阿弥家より千貫の折紙、ついで貞享元年(一六八四)極月、本阿弥光常が金百枚に値上げしました。文化九年(一八一二)三月、本阿弥長根がお手入れしました。以後、同家に伝来していましたが、大正十四年の売立により同家を出ました。昭和十六年、重要美術品に認定されました。
刃長は『享保名物帳』や前田家の記録では、九寸(約二七・三センチ)となっているが、重要美術品認定では、九寸一分四厘(約二七・七センチ)となっている。平造り、真の棟。板目肌に杢目肌のまじった地鉄に、もと小彎れ、先直刃となり、小足入りほつれまじる。鋩子は尖り、長く返る。中心は先をつまみ、「来国俊」とある在銘の「俊」の字、半分以下切れる。目釘孔二個。
参考文献:日本刀大百科事典
写真:刀剣名物帳「結城来国俊」