日本刀の世界 ~日本の様式美~

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【刀剣紹介】倶利伽羅正宗

倶利伽羅正宗

享保名物帳』所載、相州正宗極めの短刀です。寛文九年(一六六九)七月三日付で、本阿弥光温の五千貫の折紙がついています。もと浅野家蔵です。出し鮫、角合口拵えは浅野家でつけたのでしょう。柘榴の目貫は後藤祐乗の折紙付きで小柄は赤桐、獅子牡丹の図で、後藤乗真の折紙付きです。浅野紀伊守光晟が隠居の挨拶として、寛文十二年(一六七二)五月十八日、本刀と玉堂肩衝の茶壷を将軍家綱に献上しました。家綱が逝去すると、その形見として延宝八年(一六八〇)六月、紀州光貞へ贈られました。浅野家が献上したときは二百枚の折紙でしたが、その時は五千貫になっていました。昭和九年二月、紀州徳川家の売立のさい、四千百九十円で落札されました。

刃長は八寸四分(約二五・四センチ)の平造り、真の棟。差し表に櫃内の倶利伽羅、裏に梵字と蓮花を彫る。小杢目のつんだ地鉄に、浅い小五の目乱れを焼く。長い湯走りが数か所あらわれ、上のほうに長い金筋が走る。中心はうぶ、目釘孔三個、無銘。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「倶利伽羅正宗」

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