日本刀の世界 ~日本の様式美~

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【刀剣紹介】後藤正宗

後藤正宗

享保名物帳』所載、相州正宗の刀です。もと金座・後藤庄三郎光次の子、庄右衛門広世が所持していました。初め、本阿弥光伯が探してきて、伯父にあたる本阿弥光徳に「正宗磨上 本阿你光德(花押)」と金象嵌を入れてもらい、後藤庄右衛門に売ったものでした。庄右衛門は本刀を慶長五年(一六〇〇)に、関ケ原において戦勝祝として徳川秀忠に献上しました。秀忠が逝去すると、その形見として寛永九年 (一六三二)二月五日に、前田利常に贈られたといいます。しかし、そのときの形見は郷義弘の刀という説や、同年のうちに将軍家へ献上したという説があります。以後、前田家の宝蔵に秘蔵されました。本阿弥長根が文化九年(一八一二)三月に、お手入れした記録があります。折紙は七千貫です。しかし、三百五十枚とする異説もあります。戦後、前田家を出ました。

刃長については二尺二寸五厘(約六六・八センチ)、二尺二寸八分(約六九・一センチ)、二尺三寸八分五厘 (約七二・三センチ)などとする説があるが、二尺二寸八分五厘(約六九・二センチ)が正しい。表裏に棒樋をかく。大板目やや肌立ち地沸えのついた地鉄に、大五の目乱れのほつれた刃文を焼く。中心は大磨り上げで、前記の金象嵌銘がある。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「後藤正宗」

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