日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】池水の剣

池水の剣

筑後国の高良神社の座主・僧麟圭の差料です。毛利元就の九男・秀包は、豊臣秀吉九州征伐に従軍、その功により筑後久留米城主になったが、高良神社の座主・麟圭が反抗、どうしても帰服しません。そこで偽って和を結び、麟圭を城中によび、歓待したのち、帰途を要して、麟圭父子を殺害しました。

斬り手の三田市蔵が、麟圭の差料・池水の剣を分捕ってくると、秀包はその剣で、市蔵を手討ちにしました。麟圭殺害の罪を、市蔵の独断行為にして、高良神社側の怒りを解こうとしたのでしょう。文禄(一五九二)の役に遠征した陣中で、秀包は怪しげな病気にかかりました。現代のノイローゼであろうが、麟圭父子の祟りと考えました。それで麟圭の末子・秀虎丸を座主にし、先に奪った千石の神領も返還しました。

参考文献:日本刀大百科事典