日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】琉球兼光

琉球兼光

薩州鹿児島城主・島津家伝来、無銘、備前長船兼光極めの太刀です。鹿児島に伝わる伝説では、豊臣秀頼が大坂落城のさい、密かに脱出し、鹿児島に潜行したさい、携行した竹股兼光を、城主の島津家久に贈りました。家久はそれを小豆兼光と称していたが、徳川家康の探索がきびしくなったので、磨り上げて無銘にし、名も琉球兼光と改めたものといいます。秀頼の薩摩潜入説は、古くからあったが、今日では否定されています。この伝説も信じがたいです。慶長十四年(一六〇九)の琉球征伐に、関係ありそうであるが、由緒不明です。本刀は隅州加治木の島津家に伝来していたが、現在はアメリカ在住の邦人所持です。

刃長二尺六寸五分(約八〇・三センチ)、鎺元の身幅一寸二分(約三・六センチ)強、横手の身幅九分五厘(約二・九センチ)、中心の長さ九寸二分(約二七・九センチ)という豪刀です。大切先で、表裏に棒樋と添え樋をかき流す。地鉄は本目肌詰まる。刃文は五の目乱れ。鋩子乱れ込んで尖る。中心は目釘孔三個、うち一個は埋める。

参考文献:日本刀大百科事典