【刀剣紹介】松浦川
松浦川
刀号です。
刃長一尺二寸一分(約三六・七センチ)。表裏に棒樋。板目肌に柾目まじりの地鉄に、小彎れ刃を焼き、地に二重刃風に、沸えの縦筋走る。鋩子は掃きかけ焼き詰め。中心はうぶで、差し表に「阿州泰吉作」、裏に「永正十四年十一月三日(金象嵌)号松浦川 斎藤利宗」とある。ただし、「十一月三日」は鏨遣いが全く異なるから、後からの追刻。「永正」も天正をなおしたもののようである。
「松浦川」という刀号は、地にある沸えの縦筋が、川のように見えるからでしょう。本刀は斎藤立本の差料とされています。立本は初め明智光秀の臣、のち豊臣秀吉・加藤清正に仕え、最後は、春日局の実兄であることから、徳川家光に拾われ、五千石を給せられました。諱は初め利光、のち利宗と改めました。しかし、この金象嵌は浮き上がっています。利宗が入れさせたものではありません。
参考文献:日本刀大百科事典