日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】般若太刀

般若太刀

上杉家伝来、備中の青江守次作の太刀です。長尾家時代からの伝来刀で、大般若経会のさい、撫で物に用いられたことからの称呼です。上杉謙信が陣中で戦勝祈願をする時、これを祭壇に供えていました。江戸期 になると、つねに御看経所に置かれ、毎月十六日の大般若経会には、家老が刀箱から取り出し、僧侶に渡すと、それを机の上において、法事を行いました。

外装は室町期のままで、鞘は黒革包み。金具は赤銅七々子地に、輪宝の銀象嵌入り。鎺は銀地に、長尾家の紋である九曜と、丸に二引きの紋を金象嵌してある。刃長は二尺八寸九分(約八七・六センチ)、表裏に棒樋、その中に、表は三結納の剣、裏は素剣の浮き彫り、さらにその上に表裏とも梵字一個ずつを彫る。地鉄は地沸えのついた杢目肌。刃文は中直刃に逆足入り。ただし、物打ちに匂い切れがある。中心はうぶ、「守次」と二字銘がある。昭和十二年、重要美術品認定。

参考文献:日本刀大百科事典