【刀剣紹介】鯰尾刀
鯰尾刀
三条家伝来の宝刀の名です。「なまづをとかやいふかたな」、とあるから、鯰尾造りの小さ刀だったことになります。当時有名だった浅原為頼という盗賊が子供や部下を率い、正応三年(一二九〇)三月九日の夜、宮中に押し入りました。女官の気転で、天皇殺しに失敗した為頼は、護衛の兵に囲まれると、免れ難しとみて自決しました。その小さ刀が「蛇尾」といって、前参議・三条実盛家の宝刀でした。そのため、実盛に嫌疑がかかり、子の公久とともに、六波羅武士に逮捕されました。為頼の背後に亀山法皇が噂されたが、法皇が北条貞時に無実を告げられ、事件は落着、実盛父子も釈放されました。蛇尾も三条家に戻ったことでしょう。
参考文献:日本刀大百科事典