日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】富田切り

田切

備前大宮盛継作の脇差の異名です。富田某を斬ったことからの異名であろうが、その経緯は不詳です。赤松則村が元弘三年(一三三三)の春、後醍醐天皇の挙兵に応じて、播磨国赤穂郡野磨郷梨原(兵庫県赤穂市梨ケ原)に陣を張ったとき、同国佐用郡佐用佐用村本位田(兵庫県佐用郡佐用町) にある、佐用神社の観禅師に授けたものです。

禅師は、「小庫利迦羅」という戦勝祈願祭に、これを用いました。その後は佐用神社蔵だったが、則村の子・則祐はそれを申しうけ、ある戦いの出陣祝いに、子の上総介義則に授けました。安永八年(一七七九)、本阿弥貞明・忠英・清俊の三名連署で、七千五百貫の添え状を出しました。

刃長一尺三寸三分(約四〇・三センチ)、差し表に二筋樋、裏に樋のなかの剣・梵字の浮き彫りがある。地鉄は精美で、刃文は直刃に小乱れまじりだ った。

参考文献:日本刀大百科事典