日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】道灌当麻

道灌当麻

太田道灌所持、大和の当麻の作です。越前福井城主・結城秀康が、慶長六年(一六〇一)、岡本道知所蔵の瀬戸茶碗を譲り受けた代わりに、これを与えたもので、秀康から道知あての書状がついています。道知は、岡本正宗や道意正宗を所持した岡本道意の縁者でしょう。さらに、これには慶長十年(一六〇五)二月、本阿弥光室の金百五十枚の折紙がついています。

その後、秀康は義兄弟にあたる丹波福知山城主・有馬豊氏に贈ったとみえ、元和元年(一六一五)、本阿弥光室に再鑑定を求めました。それは同刀に、「当麻左兵衛尉」の銘があるが、目利きに見せたところ、偽銘との意見が強かったからでしょう。しかし光室としては今さら、あの折紙は間違いともいえないので、「当麻在銘甚稀也。格別賞玩」、と答えています。

刃長一尺一寸三分五厘(約三四・四センチ)、菖蒲造り。地鉄は杢目に柾まじり、地沸え一面につく。刃文は直刃、鋩子は丸く掃きかける。

参考文献:日本刀大百科事典