【刀剣紹介】千貫国光
千貫国光
『本阿弥光悦押形』所載、来国光の在銘刀です。異名は昔、千貫の値段がついたことからの命名です。ただし、これには同名異物があります。
1.『継平押形』(昭和三年刊)に併掲されている『本阿弥光悦押形』に出ている押形では、目釘孔が四個あり、刀銘に「来国光」と在銘である。そして 「本多どのニて」と注記がある。戦前、栗原彦三郎氏が千貫国光と称していたのは、まさしく、これであった。しかし、来国光の銘が刀銘であるのはおかしいし、現存刀の銘も、正真の来国光の銘とは違っている。
2.犬養木堂旧蔵の『本阿弥光悦押形』では、太刀銘で、目釘孔一個、樋もあって、全く別物である。同じ『本阿弥光悦押形』で、この刀だけが入れ換わっているのは、不審である。
参考文献:日本刀大百科事典