【刀剣紹介】芝吉光
芝吉光
加州前田家所蔵、粟田口吉光、九寸五分(約二八・八センチ)の短刀です。江戸の芝で銭五十文で買ってきた短刀を、無縁坂の業者が二百文で買いました。本阿弥光雲(温)がそれを五百文で買い、研ぎ上げたところ、粟田口吉光の正真で、銘は「大口」の「吉光」と二字在銘でした。それを前田利常に見せたところ、金子二百枚でお買い上げになりました。光雲は、五百文で買ったものだから、と言って、百枚は返しました。しかし、その後、物事にことよせ、五枚・十枚と下されたので、結局、二百枚でお買い上げ願 ったことになりました。本阿弥家ではそれに五百枚の折紙をつけました。文化(一八〇四)のころには、もう前田家にはありませんでした。
参考文献:日本刀大百科事典