【刀剣紹介】北野藤四郎
北野藤四郎
『享保名物帳』追加之部所載の名物、京の粟田口吉光作の短刀です。これはもと京都の北野天満宮の籠め物だったので、北野藤四郎と名づけられました。もと織田信長の所蔵で、天正八年(一五八〇)二月二十二日、堺の津田宗及が京都に行ったとき、拝見させてもらった大小二十二刀のうちに、北野藤四郎がありました。翌九年(一五八一)七月二十五日、信長は安土城において、これを次男の信雄に与えました。本阿弥光徳が天正十八年(一八九〇)極月三日付で、石田三成に贈った刀絵図に載っているが、その後の消息は不明です。
刃長も八寸二分(約二四・八センチ)、または八寸二分五厘(約二五・〇センチ)というが、実測値ではない。『光徳刀絵図』の押形からの測定値であるから不確かである。刃文は直刃、鎺元に小乱れを焼く。鋩子は小丸で、返りは長い。 銘は「吉光」。
参考文献:日本刀大百科事典