日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】岡田斬り吉房

岡田斬り吉房

織田信雄が岡田長門守重孝を斬った刀です。信雄の老臣、津川義冬・浅井長時らと図って、信雄を殺し、徳川家康に加担しよう、とした容疑により、天正十二年(一五八五)三月六日、信雄の居城・長島城によばれ、重孝が鉄砲を拝見しているところに、土方勘兵衛が飛びかかり、信雄がこの刀で手討ちにしました。刀銘については、大左文字との説もあるが、『木屋押形』に和田飛騨守所蔵として出ている押形を見ると、備前一文字吉房、二字在銘です。 なお、『本阿弥光一押形』にも載っているが、明治になると、神山男爵・福住英勇両家をへて、益田男爵家に入り、同家より大正天皇の皇太子時代に献上しました。戦後、東京国立博物館保管、国宝です。

刃長二尺二寸八分(約六九・一センチ)、反り七分(約二・一センチ)強。表裏に刀樋をかき流す。地鉄は板目肌。乱れ映り入る。刃文は大房の丁子乱れ、葉入る。鋩子は乱れ込んで、わずかに返る。中心は磨り上げ、目釘孔二つ。中心先に「吉房」と二字銘残る。

参考文献:日本刀大百科事典