日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】大森藤四郎

大森藤四郎

享保名物帳』焼失之部所載の短刀です。もと京都の商人・大森宗屋所持でした。宗屋は江戸初頭、尺八の名人として知られた大森宗勲の一族でしょう。大坂の役の功を賞してであろう、徳川家康から福島正則が、長義の刀とともに拝領しました。正則が寛永元年(一六二四)七月十三日に死去すると、その遺物として嗣子・正利から、将軍家光に献上しました。家光の娘・千代姫が寛永十六年(一六三九)九月二十八日、名古屋城徳川義直の嗣子・光友に降嫁のさい、家光より義直へ本刀と相州貞宗の刀が贈られました。のちまた将軍家へ献上しました。大森義光と書くのは誤りです。

明暦三年(一六五七)正月十九日、江戸の大火で焼失した。刃長八寸二分(約二四・九センチ)、ただし八寸三分(約二五・二センチ)との記録もある。平造り。表面に護摩署があって、裏のほうが九分(約二・七センチ)ほど長かった。代付けは四百五十枚または九千貫だった。

参考文献:日本刀大百科事典