日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】大波国俊

大波国俊

木村重成の佩刀です。重成の姉婿・猪飼野左馬之助に送った元和元年(一六一五)四月六日付の手紙によれば、重成が十三歳で元服したとき、徳川家康がその祝いに、本田忠勝に持たせてやったもので、無銘ながら来国俊とされているものでした。討死の覚悟をきめた重成は、本刀を義兄の左馬之助に、香炉を実姉に贈りました。そして翌月六日、若江において華々しい戦死をとげました。左馬之助は重傷を負ったので、すでに戦場を去っていました。左馬之助の子息は世を憚り、幕谷と姓を変え、通村にかくれ帰農しました。その子孫の家に戦前まで、重成の書状と「大波国俊」は伝来していました。

刃長二尺二寸一分五厘(約六七・一センチ)、表裏に棒樋をかく。地鉄は小杢目肌、地沸えつく。刃文は直刃。しかし鎺元に五の目丁子の乱れ刃を長くやいて、それが波浪を想わせるので、「大波」という刀号をつけたようである。

参考文献:日本刀大百科事典