日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】馬斬り正房

馬斬り正房

薩州伊豆守正房作刀の異名です。

刃長二尺七寸七分(約八三・九センチ)、反り四分五厘(約一・四センチ)、小杢目の詰まった地肌に、沸え出来の直刃をやく。

もと島津家蔵で、無銘でしたが、島津斉彬嘉永五年(一八五二)、七代正房に命じ、「伊豆守藤原正房、嘉永王子秋、伊豆守正房記」と追銘させました。大山綱良が明治六年、鹿児島県令となった一時、島津久光が本刀を贈りました。 明治十年、西南の役が起こり、元近衛陸軍少佐・貴島清が出陣するさい、大山県令は本刀を貴島に貸与しました。戦い敗れ城山に立てこもった貴島が、米倉の敵陣を強襲したとき、警察中隊長・山田菜が乗馬で逆襲してきました。それを本刀をもって、人馬ともに斬り倒したが、貴島もまた敵弾にあたり戦死しました。よって、本刀は大山家に返却されましたが、今次大戦後、同家を出ました。

参考文献:日本刀大百科事典