【刀剣紹介】伏見貞宗
伏見貞宗
相州貞宗作の短刀です。『享保名物帳』所載、ただし原本にはなく、後人の追記したもので、「由緒・寸尺・代付未詳」とあります。江州水口城主・加藤家伝来です。大正十四年十月、同家の売立に出品されたが、親引きになりました。のち同家を出て、昭和十三年国宝に認定されました。
刃長一尺(約三〇・三センチ)、平造り、真の棟。差し表に梵字と鍬形付き素剣、裏に腰樋がある。地鉄は大板目肌で、地沸えつく。刃文は小彎れに五の目まじり。鋩子は小丸。中心はうぶ、目釘孔三個。鑢目は軽い勝手下がり、中心尻は浅い栗尻。無銘で、差し表に「貞宗」、裏に「本阿(花押)」、と本阿弥光温の朱銘があり、本阿弥光忠の三百貫の折紙付き。
参考文献:日本刀大百科事典
写真:刀剣名物帳「伏見貞宗」