日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】順慶左文字

順慶左文字

享保名物帳』所載の筑州左文字象嵌銘の太刀です。もと和州郡山城主・筒井順慶所持でした。のち紀州和歌山城主・浅野長晟が所持、徳川家康に献上しました。おそらく長晟が兄・幸長の死により、慶長十八年(一六一三)、遺領を継承した礼として献上したものでしょう。秀忠は本刀を大坂冬の陣の功を賞して、元和元年(一六一五)正月十一日、大坂岡山の陣中において、阿州徳島城主・蜂須賀至鎮に与えました。『享保名物帳』に蜂須賀蓬庵、つまり至鎮の父・家政拝領とあるのは誤りです。その当時は、金三十五枚の折紙でした。慶安二年(一六四九)、七十五枚に昇格しました。ただし『名物帳』には千五百貫とあります。以後、蜂須賀家に伝来し、昭和十六年、 重要美術品に指定されました。

刃長二尺三寸五分五厘(約七一・四センチ)、行の棟、表裏に棒樋と添え樋をかき通す。地鉄は板目肌やや肌立ち、地沸えつく。刃文は沸え出来、腰開きの大五の目乱れ、鋩子は乱れ込んで掃きかけ、尖って少し返る。中心は大磨り上げ、目釘孔二つ。差し表に「左」、裏に「筒井順慶磨上之」と銀象嵌

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「順慶左文字

f:id:seiya3939:20180911150130j:plain