日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】戸川来国次

戸川来国次

享保名物帳』焼失之部所載、来国次作の短刀です。もと備前庭瀬城主・戸川肥後守逵安所持し、将軍秀忠へ献上した 、ともいいますが、寛永六年(一六二九)四月二十九日、加賀の前田利常の別邸に、前将軍秀忠が来たとき、利常が献上しているところを見ると、戸川志津同様、戸川逵安から買い上げたようです。秀忠は生存中、つまり寛永九年(一六三二)正月以前に、また利常に与えました。利常の嗣子・光高が正保二年(一六四五)四月に没すると、同年八月、その形見として、将軍の世子・家綱に本刀を献上しました。以来、将軍家の御物になっていましたが、明暦三年(一六五七)の江戸城炎上で焼失しました。

刃長九寸七分(約二九・四センチ)、「来国次」と在銘。本阿弥光由が、出来は「三斎来国次」に次ぐ、といっただけあって、折紙も二百枚ついていた。

参考文献:日本刀大百科事典