日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】横須賀江

横須賀江

享保名物帳』所載、越中郷義弘極めの刀です。初め遠州城東郡松淵郷横須賀村、現在の静岡県小笠郡大須賀町横須賀から出たもので、郷義弘の極めでした。それを本阿弥光常が、阿波の海部物と鑑定しなおし、十枚の折紙をつけました。元禄十四年(一七〇一)に、本阿弥光受が研ぎ直すと、再びもとの郷義弘となり、一躍、七千貫または三百五十枚の折紙をつけました。

刃長は二尺四寸七分五厘(約七五・〇センチ)で表裏に棒樋をかく。樋先下がり、下は中心尻近くで揺き流しとなる。地鉄は杢目肌つまるが、数か所柾目肌現れる。刃文は直刃に、長い足入る。ただし、物打ちは寂しくなる。鋩子は中丸下がり。中心は大磨り上げ、目釘孔三個。無銘。

奧州白河藩主・阿部家に伝来し、昭和九年、重要美術品に指定されました。

参考文献:日本刀大百科事典