日本刀の世界 ~日本の様式美~

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【刀剣紹介】金森正宗

金森正宗

享保名物帳』所載の相州正宗の短刀です。三百枚の折紙付きです。慶長十三年(一六〇六)に金具を埋忠寿斎に作らせました。それを嗣子・出雲守可重に伝え、可重逝去のとき、その子長門守重頼より、父の遺物として国次の刀とともに、徳川家康に献上しました。それを秀忠が名古屋城主・義直に贈っていましたが、寛永二年(一六一五)二月二十六日に将軍家光が尾張邸に臨んだ時、行平の太刀・大左文字の太刀と本刀を将軍に献上しました。

寛永六年(一六二九)八月二十八日、家光が佐倉城主・土井利勝邸に臨んだとき、本刀を利勝が拝領しました。その嗣子・遠江守利隆が万治元年(一六五八)九月二十一日隠居したさい、本刀を将軍に献上しました。将軍家綱逝去のとき、その形見として延宝八年(一六八〇)六月二十七日、将軍綱吉の嫡子・徳松丸に与えられました。徳松丸は天和三年(一六八三)に五歳で幼死したので、再び将軍のもとに戻りました。文政十一年(一八二八)四月四日、将軍家斉の孫、つまり後の将軍家定が元服したとき、家斉に献上しました。その後、将軍家に伝来し、戦後、同家を出ました。

刃長は八寸三分(約二五・一センチ)で真棟、平造り。地鉄は大板目肌。刃文は腰開きの五の目乱れ、刃中ほつれる。鋩子は小丸で掃きかける。目釘孔二個、無銘。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「金森正宗」

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