日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

脇差

【刀剣紹介】濡れ衣

濡れ衣 刀の異名です。 1.大口屋暁雨の差料 暁雨は江戸中期、侠客として、また十八大通の一人として有名な札差です。雨降りの夜、蔵前から吉原へ通う途中、聖天町(台東区浅草七丁目)の西方寺(俗称 土手の道哲)付近の土手で、鉦をならし念仏を唱えている道心…

【刀剣紹介】七つ星正宗

七つ星正宗 作州津山家伝来、相州正宗作の脇差です。 刃長一尺六寸五分(約五〇・〇センチ)、菖蒲造り。「正宗」と二字在銘。 異名は乱れ刃に、七星のあるところからの命名です。一名、火焔正宗ともいいます。もと尾州の家老・成瀬隼人正所持でした。尾張藩主…

【刀剣紹介】南禅長義

南禅長義 備前長船長義作の脇差の異名です。異名の由来は不詳です。土佐の山内家旧蔵でした。 刃長一尺(約三〇・三センチ)、反り一分(約〇・三センチ)。地鉄は板目肌、映りはない。刃文は、差し表が五の目乱れ、裏が彎れ調の小五の目乱れ。鋩子は尖り、長く…

【刀剣紹介】成瀬行平

成瀬行平 『享保名物帳』追加之部所載、豊後国行平作の脇差です。尾州犬山城主・成瀬家に伝来しました。正式の「享保名物」ではないが、出来は良かったです。刃長九寸二分五厘(約二八・〇センチ)です。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】南泉国宗

南泉国宗 備前三郎国宗作の脇差の異名です。刃長は一尺八寸(約五四・五センチ)に過ぎないが、物切れとして有名でした。赤松家重代であって、赤松左馬介満則(将則)が、明徳二年(一三九一)十二月三十日、京都の内野で討死のとき、これを所持していました。また…

【刀剣紹介】富田切り

富田切り 備前大宮盛継作の脇差の異名です。富田某を斬ったことからの異名であろうが、その経緯は不詳です。赤松則村が元弘三年(一三三三)の春、後醍醐天皇の挙兵に応じて、播磨国赤穂郡野磨郷梨原(兵庫県赤穂市梨ケ原)に陣を張ったとき、同国佐用郡佐用郷佐…

【刀剣紹介】道灌当麻

道灌当麻 太田道灌所持、大和の当麻の作です。越前福井城主・結城秀康が、慶長六年(一六〇一)、岡本道知所蔵の瀬戸茶碗を譲り受けた代わりに、これを与えたもので、秀康から道知あての書状がついています。道知は、岡本正宗や道意正宗を所持した岡本道意の縁…

【刀剣紹介】対馬正宗

対馬正宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗作の小脇差です。もと対馬藩主・宗義調の次男、柳川豊前守調信の所持でした。それを研師・木屋の取次ぎで、本多正純が五百貫で入手しました。正純は元和八年(一六二二)改易、流罪となりました。いつの頃からか…

【刀剣紹介】獅子貞宗

獅子貞宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州貞宗作の脇差です。豊臣家の蔵刀で、よほど貴重視したとみえ、一之箱に入れてありました。本阿弥光徳も刀絵図を描いています。異名は拵えの目貫が獅子の図だったことによります。 刃長一尺二寸五分(約三七・ 九セ…

【刀剣紹介】地蔵信国

地蔵信国 毛利輝元が厳島神社に奉納した脇差の異名です。 刃長一尺六寸一分(約四八・八センチ)、平造り、差し表に三銘柄の剣、裏に地蔵尊の彫刻があることからの命名。刃文小乱れ。差し裏に「源左衛門尉信国」とあるが、「国」の字は普通の書体と異なる。腰…

【刀剣紹介】笹の露

笹の露 刀の切れ味のよさを讃えた刀号です。笹の葉においた露は、払えばすぐ落ちるのを、刀で払えば胴体のすぐ切れ落ちるのに例えたものです。 1.濃州関の兼元の刀 「笹露 槇嶋監物所持之」と金象嵌があります。細川幽斎の臣・吉田吉助左衛門が、合戦のたび…

【刀剣紹介】小尻通し新藤五

小尻通し新藤五 『享保名物帳』焼失之部所載の脇差です。もと大坂城にあって「一之箱」に入れてあったほど重宝視されていました。おそらく関東管領・足利家重代の「鐺通し」と同一物でしょう。本阿弥光徳が採ったこれの押形を、埋忠寿斎が元和元年(一六一五)…

【刀剣紹介】降伏兼光

降伏兼光 美濃国郡上の豪族・東常縁家重代の脇差です。かつては刀剣の大家・木本宗剛が秘蔵、永正(一五〇四)ごろは、美濃の部将・斎藤基泰所持でした。 刃長一尺二分(約三〇・九センチ)、差し裏に、降り竜が玉を呑む彫物があった。銘は差し表に「備州長船兼…

【刀剣紹介】織田七兵衛

織田七兵衛 濃州関の兼常作の脇差に、「織田七兵衛所持」と所持銘があります。七兵衛とは織田信長の弟・信行の子で、江州大溝城主だった津田信澄のことです。天正十年(一五八二)、織田信孝に従い、紀州鷺森の本願寺を攻撃中、本能寺の変が起こりました。信澄…

【刀剣紹介】寺沢貞宗

寺沢貞宗 『享保名物帳』所載、相州貞宗作の脇差です。本阿弥祐徳(光徳の二従兄弟)の家来が京都の木の下(上京区)で、金二枚で買ってきたものを本阿弥光徳が相州貞宗に極め、三百貫の折紙をつけました。本刀を肥前唐津城主・寺沢志摩守広高が金二十枚でもとめ…

【刀剣紹介】別所貞宗

別所貞宗 『享保名物帳』所載、相州貞宗極めの脇差です。もと播州三木城主・別所小三郎長治所持でした。長治は豊臣秀吉に攻められ、天正八年(一五八〇)正月十七日落城、自殺しました。のち筑前福岡城主・黒田長政が入手しました。二代将軍秀忠が黒田邸に臨ん…

【刀剣紹介】切羽貞宗

切羽貞宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州貞宗作の脇差です。切刃貞宗とも書きます。五百枚の折紙付きです。もと明智日向守光秀の所持でした。のち豊臣秀吉の有に帰しました。大坂城では一之箱に入れてあったから、よほど大切にされたものと見えます。本阿…

【刀剣紹介】徳善院貞宗

徳善院貞宗 『享保名物帳』所載、相州貞宗の脇差です。初め織田信長の長男・信忠所持、それを嫡子・三法師に与えました。天正十年(一五八二)本能寺の変のさい、信忠は徳善院こと前田玄以法印に、三法師を託し、安土へ逃れさせました。三法師は豊臣秀吉の一…

【刀剣紹介】松浦安吉

松浦安吉 『享保名物帳』所載、筑前の左安吉作の脇差です。もと肥前平戸城主・松浦肥前守所持でした。慶安二年(一六四九)、松浦家から本阿弥家に来たので、金六十枚の折紙を出しました。その後、加賀の前田利常が購入、本阿弥家に出すと、枚数が百三十枚に…

【刀剣紹介】北荘貞宗

北荘貞宗 『享保名物帳』所載の脇差です。相州貞宗の作、ただし無銘です。越前北庄から出たので、北荘貞宗と呼ばれました。享保(一七一六)のころは、奥州仙台藩主の伊達家にありました。しかし文化十四年(一八一七)調べの『伊達家御腰物本帳』に見当たり…

【刀剣紹介】朱判貞宗

朱判貞宗 『享保名物帳』所載、相州貞宗極めの脇差です。もと本阿弥光利所持でした。本阿弥光甫の言によれば、その後、土井大炊頭に売りました。土井家では本刀を将軍に献上しました。将軍秀忠は寛永九年(一六三二)以前に、本刀を前田利常に与えました。同…

【刀剣紹介】斎村貞宗

斎村貞宗 『享保名物帳』所載、相州貞宗の小脇差です。もと播州竜野城主・赤松下野守政秀所持でした。その子・斎村左兵衛佐政広は関ヶ原の役で初め西軍、のち東軍に寝返り、因州鳥取城攻めに参加しました。そのとき城下を焼き払ったことで、徳川家康から切腹…

【刀剣紹介】一柳安吉

一柳安吉 『享保名物帳』所載、筑前の左安吉作の脇差です。もと一柳直盛所持していました。直盛は勢州神戸城主から、寛永十三年(一六三六)六月、伊予の西条城主に移され、西条に赴く途中、同年八月十九日、大坂において客死(その人が普段の生活を送ってい…

【刀剣紹介】紅葉山信国

紅葉山信国 『享保名物帳』所載、京の信国作の脇差です。もと江戸城の紅葉山にあった宝蔵所蔵のものを、寛文六年(一六六六)十月八日、将軍御用に移管したものです。 刃長は一尺〇五分(約三一・八センチ) 、または一尺一寸五分五厘(約三五・〇センチ) という…

【刀剣紹介】小池正宗

小池正宗 『享保名物帳』所載の脇差です。播州姫路城主・本多美濃守忠政が、京都小池通りの旅館で購入したため「小池正宗」と呼びます。忠政より三代目の中務大輔政長が逝去したとき、その遺物として延宝七年(一六七九)七月十二日、嗣子の平八郎忠国は本刀…

【刀剣紹介】鷹の巣宗近

鷹の巣宗近 『享保名物帳』所載、三条宗近作の脇差です。 大木の上に光を放つものがあるので、登ってみたところ、鷹の巣の中にこの刀がありました。鷹の子を取ったあとに、刃物を入れておくことがあったからです。それは豊臣秀吉のころだったので、本阿弥光…

【刀剣紹介】朱判正宗

日本の美、日本刀 まだ腰に刀を差していた時代、日本刀は自分の身を守るためだけではなく拵えの装いや粋な刀装具を周囲に見せ、その刀を差す武士の品格を表していました。また、現代のように自身を彩るものは多くなく、腰に差す刀剣でその人のお洒落さをも表…

【刀剣紹介】毛利正宗

日本の美、日本刀 まだ腰に刀を差していた時代、日本刀は自分の身を守るためだけではなく拵えの装いや粋な刀装具を周囲に見せ、その刀を差す武士の品格を表していました。また、現代のように自身を彩るものは多くなく、腰に差す刀剣でその人のお洒落さをも表…

【刀剣紹介】大島行光

日本の美、日本刀 まだ腰に刀を差していた時代、日本刀は自分の身を守るためだけではなく拵えの装いや粋な刀装具を周囲に見せ、その刀を差す武士の品格を表していました。また、現代のように自身を彩るものは多くなく、腰に差す刀剣でその人のお洒落さをも表…

【刀剣紹介】海老名宗近

日本の美、日本刀 まだ腰に刀を差していた時代、日本刀は自分の身を守るためだけではなく拵えの装いや粋な刀装具を周囲に見せ、その刀を差す武士の品格を表していました。また、現代のように自身を彩るものは多くなく、腰に差す刀剣でその人のお洒落さをも表…