日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

刀剣紹介

【刀剣紹介】令剣盛光

令剣盛光 備前長船盛光作、播州(兵庫県)の赤松家の打ち太刀の号です。 刃長三尺四分(約九二・一センチ)、鎺より二寸二~三分(約六・七~七・三センチ)上に、表裏とも梵字を彫り、それより上には樋をかく。うぶ中心で、「盛光」と二字銘。 参考文献:日本刀大…

【刀剣紹介】露弾丸

露弾丸 堀井胤明作の両刀の短刀の異名です。明治三十八年五月、日本海海戦のさい、軍艦日進の主砲塔に命中した敵弾の破片をもって、同艦に乗っていた麓々園氏が、同四十五年五月、胤明に打たせたものです。差し表に「揚武」の二字を彫ります。 参考文献:日…

【刀剣紹介】若狭貞宗

若狭貞宗 江戸初期、薩摩の島津家にあった相州貞宗作、一尺(約三〇・三センチ)ばかりの脇差です。由来は不明であるが、慶長十五年(一六一〇)八月、島津家久が琉球王・尚寧を伴い、徳川家康に謁したとき、相州貞宗の大小を与えています。おそらくその小刀のほ…

【刀剣紹介】竜太刀

竜太刀 遣明船で輸出された太刀のうち、最上のものです。応仁二年(一四六八)の時は二振りで、刀身は信国の作で、原価は一振り三貫文、柄や鞘は藤左衛門の作でした。藤左衛門は「摂津守方 中間」、とあるから、細川勝元お抱えの鞘師だったことになります。鞘…

【刀剣紹介】竜丸

竜丸 髭切・友切とともに、源氏相伝の宝刀です。竜の目貫がついていることからの名称です。源実朝が承久元年(一二一九)殺され、源氏の嫡流が絶えたので、尼将軍・政子は竜丸を、源氏の分流である吉良義氏に与えました。義氏はのち三河国西尾(愛知県西尾市)に…

【刀剣紹介】竜谷剣

竜谷剣 親鸞所持と伝承の短刀です。 刃長四寸九分(約一四・八センチ)、無銘。武州豊島郡下駒込(東京都豊島区駒込)の官七家に伝来。そのほか京都の大本山・仏光寺に親鸞の太刀と称するものが伝来。享保十一年(一七二六)、展示したことがある。 参考文献:日本…

【刀剣紹介】竜造寺国次

竜造寺国次 肥前佐賀城主・竜造寺隆信の佩刀です。相州国次の作です。天正十二年(一五八四)三月十八日、薩州島津の家臣・川上忠堅が槍で隆信を突き倒すと、従卒が駆けよって首を切り落としました。その功によって、隆信の甲冑と太刀は忠堅に与えられ、子孫の…

【刀剣紹介】流星刀

流星刀 榎本武揚が明治三十一年、富山県中新川郡上市町に落ちた鉄隕石をもって、江戸の刀エ・国吉に命じて造らせた短刀です。板目肌がきれいに出ているが、玉鋼を三割ほど混ぜたものです。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】流水剣

流水剣 沢村大学の鎧通しです。大学は熊本藩主・細川家で一万一千石をはんだ家老です。小男だったので、敵との組み討ちになると、組み敷かれることが多かったです。組み敷かれながら、下から腰の鎧通しを抜いて、敵を突き殺すのが得意でした。そのとき使った…

【刀剣紹介】琉球兼光

琉球兼光 薩州鹿児島城主・島津家伝来、無銘、備前長船兼光極めの太刀です。鹿児島に伝わる伝説では、豊臣秀頼が大坂落城のさい、密かに脱出し、鹿児島に潜行したさい、携行した竹股兼光を、城主の島津家久に贈りました。家久はそれを小豆兼光と称していたが…

【刀剣紹介】横山貞宗

横山貞宗 加賀藩の重臣・横山式部長治所持、相州貞宗の刀です。刃長不明です。長治は山城守長和(三万石)の三男、初め神谷守孝(九千石)の養子です。慶長十年(一六〇五)、伯父・横山長秀(九千二百五十石)が死去すると、その跡を継ぎました。慶長十九年(一六一…

【刀剣紹介】吉野貞宗

吉野貞宗 相州貞宗作の刀です。豊臣秀吉が、徳川家康の次男で、秀吉の養子になった結城秀康に与えたもので、その後、子の忠直をヘて、孫の光長に伝わりました。その後は消息不明です。刃長不明、鎬造りで、鎬地に素剣を二筋彫る。刃文は大彎れで、鋩子は丸で…

【刀剣紹介】米沢藤四郎

米沢藤四郎 『享保名物帳』焼失之部所載、粟田口吉光の短刀です。初め豊臣秀吉所蔵でした。おそらく秀吉の遺物として、羽州米沢城主・上杉景勝へ贈られたのでしょう。景勝はこれを二代将軍秀忠に献上しました。秀忠は寛永二年(一六二五)二月五日、三男の駿河…

【刀剣紹介】余野山広次

余野山広次 土佐藩主・山内一豊の差料です。父・但馬守盛豊のころから、山内家重代といわれていたものです。一豊は三河の牧野政倫のもとにいた永禄三年(一五六〇)、政倫の命にそむいた家士を、これで一刀両断しました。 刃長一尺九寸三分(約五八・五センチ)…

【刀剣紹介】鎧裂装

鎧裂装 刀の異名です。濃州坂倉関派の正利の作です。尾州岩倉(愛知県岩倉市)城主・織田信安の秘蔵刀です。信安は嗣子・信賢に追われて流浪の身になったが、山内一豊の旧主でした。それで一豊が慶長五年(一六〇〇)、土州高知城主に封じられると、直ちに高知を…

【刀剣紹介】雷風の太刀

雷風の太刀 力士・雷風所持の太刀です。 刃長三尺三寸(約一メートル)、反り八分(約二・四センチ)。差し表に「天下無敵」、裏に「雷風太刀」と彫る。表裏に棒樋に添え樋をかく。地鉄は小杢目肌、無地風に詰まる。刃文は匂い出来の五の目丁子乱れ。中心はうぶ…

【刀剣紹介】横雲正宗

横雲正宗 1.『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗極め朱銘入りの短刀です。 刃長八寸七分(約二六・四センチ)、平造りで彫物はない。差し表は五の目乱れで、切先は二重刃になり、鋩子は乱れ込んで、ほとんど焼き詰め。裏も五の目乱れで、地のほうに二重刃や…

【刀剣紹介】夢切り

夢切り 上杉謙信が永禄七年(一五六四)、常陸の佐竹義重に贈った備前三郎国宗の太刀です。義重が大田城の櫓で昼寝中、夢で蛇に呑まれようとするのを、この太刀で追い払いました。覚めてみると太刀が鞘からぬけ出し、戸に立てかかっていたので、異名を「抜け戸…

【刀剣紹介】遊佐大郷

遊佐大郷 越中郷義弘作の太刀です。刃長二尺九寸一分(約八八・二センチ)、のち磨り上げても、二尺四寸五分(約七四・二センチ)あったので、大郷と呼ばれました。この遊佐氏は畠山家の重臣・遊佐河内守長教のことでしょう。同家重代には、河内有成の太刀もあり…

【刀剣紹介】涌泉

涌泉 中山義弘作の刀の異名です。大野基が義弘に至急、一刀を打ってくれ、と頼みました。たまたま義弘は掘貫き井戸を掘っている最中だったので、費用が足りないようだから、出して下さるなら、至急打ち上げましょう、と言いました。費用を出してくれたので、…

【刀剣紹介】鑓切り

鑓切り 天文(一五三二)のころ、越前一乗谷城主・朝倉孝景の弟、九郎左衛門景紀所持、来国行作の太刀です。 刃文は広直刃。うぶ中心で、佩き表に「国行(花押)」、と在銘。異名は槍の柄を切り落としたことに、因んだものであろう。 参考文献:日本刀大百科事典

【刀剣紹介】八幡左文字

八幡左文字 豊前中津城主奥平家が某年、徳川将軍よりの拝領刀です。無銘極めの筑前左文字の作です。 拵えの鞘に葵紋の蒔絵。刃長二尺三寸五分(約七一・二センチ)。奥平家の記録には、山城国八幡山つまり男山の麓での鍛造とあるが、それは誤り。男山八幡宮よ…

【刀剣紹介】有性剣

有性剣 神秘な性能を有する刀です。多くの刀のなかから、有性剣を選び出すには、左の中指と無名指の爪の甲を、母指の腹をもって抑え、小指と示指を立てたまま、心のなかで、「唵 有性剣者見ソワカ」、と五回唱えると、有性剣は星がまたたくような光を放つと…

【刀剣紹介】鞲切り

鞲切り 朝倉氏景の太刀の異名です。氏景は文和四年(一三五五)二月十五日、わずか十七歳で、京都の東寺の南大門のまえで、南朝方と闘い、相州貞宗の太刀をもって、敵兵の鞲つまり弓をひく場合の革の手袋もろとも、切って落としました。その切れ味を賞して、中…

【刀剣紹介】矢目行光

矢目行光 『享保名物帳』追記の部所載、「行光」と二字在銘です。徳川将軍から紀州家拝領です。慶安二年(一六四九)、百枚の折紙付きです。拝領はそのころでしょう。後年、紀州家より出羽秋田城主・佐竹家へ贈りました。その時期は不明であるが、佐竹義処の長…

【刀剣紹介】八樋正宗

八樋正宗 織田信長が天正三年(一五七五)二月三日、甥の津田七兵衛信澄を、江州大満(高島郡高島町)の城主に封じたさい、織田家伝来の刀とともに与えた相州正宗の短刀です。妻が明智光秀の娘だったため、光秀謀叛のとき、光秀と同心と誤解され、大坂城において…

【刀剣紹介】八八王

八八王 今川範国所持、粟田口国吉の太刀の異名です。延元元年(一三三六)、京都の阿弥陀峰の戦で、尊氏方の範国は、伊勢の愛という大力の侍の兜の鉢と半首を切り割ったものです。兜のハチと半首のハツを合わせて、八八王と名づけました。 参考文献:日本刀大…

【刀剣紹介】山姥の槍

山姥の槍 柳生宗矩が将軍家光より拝領の笹穂の槍です。寛永十七年(一六四〇)、将軍から大和の高取城を与えよう、との内命があったが、郷里の柳生に帰りたかったのであろう、植村家政を推挙しました。その代わりに、この槍を拝領、という伝説があります。 参…

【刀剣紹介】大和丸

大和丸 皇室伝来の剣です。 刃長一尺九寸一分(約五七・九センチ)、両刃の古剣、無銘。柄は金の延べ板で包み、桐・笹・唐草の彫刻。鞘は梨子地に、麒麟・鳳凰・桐・笹などの時絵があり、金具は金無垢で、桐・笹・唐草の彫刻があった。 参考文献:日本刀大百科…

【刀剣紹介】矢目国俊

矢目国俊 中心の差し表、目釘孔のうえに、矢目状の孔のある来国俊です。ただし、その孔は裏に通っていません。それは平造りの短刀で、差し表に「来源国俊 主(生)年七十八」、裏に「文保元年丁丑七月日」、と銘があります。その押形をみると、銘振りが正真の…