「国宗」と二字在銘です。刃長二尺四寸二厘(約七二・八センチ)、旧国宝、現重文です。東京在住の故M刀匠が、私が作った偽物で、国宝になった二本のうちの一本、と生前告白していたものです。これは銘のある側の中心の大部分を剥ぎ取り、他の健全な刀の中心を、同様に剥ぎ取ったあとに貼り付けたものです。
当然中心の棟に合わせ目がある訳で、故本阿弥光遊氏が大阪の刀剣会にこれを出品し、会員からその合わせ目を指摘され、困った話や、梅雨時に合わせ目から錆の吹き出ているのを、実見した話などがあります。
参考文献:日本刀大百科事典