日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】鷲切り

鷲切り

備前長船兼光の刀号です。享保(一七一六)のころ、加賀藩馬廻り頭・丹羽武兵衛孝房が、加州石川郡湯浦(石川県金沢市)の温泉に入湯中、薬師堂の上の山に佩刀をおいて、さらに絶壁をよじ登りました。程経て薬師堂の上に戻ってみると、佩刀がありません。驚いて宿に帰り、入湯客も調べてみたが、見当たりませんでした。能州石動山(石川県鹿島郡鹿島町)の僧が来ていたので、それに占ってもらったところ、獣の手に渡っている、といいました。その夜の夢で、障子の外から、私は悪鳥に子をさらわれましたが、腰の物をお借りして、敵を討ちましたので、お礼に来ました、という声に驚いて、障子を開けると、大きな猿が逃げていきました。あとに刀身と、鷲の片身がおいてありました。それでその刀を「鷲切り」と名付けました。

参考文献:日本刀大百科事典