日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】不動宗近

不動宗近

三条宗近作の太刀です。越後国蒲原郡奥山庄(新潟県北蒲原郡中条町・黒川村)の豪族、城太郎貞重(貞成の誤り)は、黒川村館の不動尊に宗近の太刀を奉納しました。その子孫の城太郎資持(小太郎資盛の誤り)は、建治元年(一二七五)四月、中条の鳥坂城によって、幕府に叛旗を翻しました。五月、資持の伯母・板額御前の勇戦のかいなく落城しました。資持は宗近を申し下して、帯びていたが、敗死により行方不明となりました。『東鑑』にも、城氏の先祖・出羽城介繁盛が、狐から相伝した刀が、この戦で紛失した、とあります。 城氏敗走のあとに、和田義盛の孫・次郎左衛門尉義資が入国してきました。宗近の太刀はいつしか不動尊のもとに帰っていきました。義資は社殿を改築し、畑三段を寄進した代わりに、宗近を申し請け、不動丸と名付けました。

参考文献:日本刀大百科事典