日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】風雷神虎徹

風雷神虎徹

風神と雷神の彫物のある長曽祢虎徹脇差です。明治中期、東京浅草の北岡文兵衛所蔵でした。それから西垣四郎作・松平頼平子爵を経て、高橋箒庵入手しました。それを犬養木堂に贈りました。昭和十三年犬養健の名義で、重要美術品認定されました。戦後アメリカへ持ち去られたが、現在は日本に里帰りしています。

刃長一尺六寸一分(約四八・八センチ)、本造り、大切先。鎺もとの樋のなかに、差し表は風神、裏は雷神を浮き彫りにする。その上に、さらに棒樋と添え樋をかく。地鉄は小板目肌に地沸えつく。刃文は直刃崩れ。鋩子は直に小丸。中心はうぶで、「長曽祢興里彫物同作」、と最晩年の銘がある。拵えは犬養木堂が付けたもので、金具は四分一摺り剥がし、革柄で、鞘は藍飲黒塗りの研ぎ出しになっている。

参考文献:日本刀大百科事典