日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】不動丸

不動丸

大久保石見守長安の刀です。武州下原照重の篆書体の銘で、刃長二尺一寸六分(約六五・四センチ)の刀に、「比刀去慶長ノ頃大久保石見守 号不動丸□指領タリ 爾後三拾余年ヲヘテ正保内皮曆 甲府在番ノ時 不計為得求之 渡辺久左衛門尉源朝臣善光所持」、と切り付けたものがあります。差し表に、櫃のなかに不動明王の浮き彫りがあるため、不動丸と命名したものです。

大久保長安徳川家康に仕えて、金銀鉱山の代官です。所領が八王子横山にあったので、照重の領主でもありました。慶長十八年(一六一三)四月二十五日没、六十五歳でした。渡辺善光は、正しくは渡辺善と一字名です。五千石の旗本で、正保三年(一六四六)四月十五日、甲府城在番になっているから、刀銘と合致します。慶安三年(一六五〇)六月二十三日没、四十七歳でした。

参考文献:日本刀大百科事典