日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】野狐丸

野狐丸

刀の異名です。出羽の豪族で、由利十二党の一である矢島家伝来でした。先祖の矢島清兵衛が二十四、五歳のころ、秋田郡岩城(秋田市)において、狐に化かされ、周囲が見る見る川になった時、腰の古備前友成が、かってに抜け出し、白狐の首を切り落としてくれました。それで野狐丸と名付けました。それを主君の岩城城主・岩城貞隆に献上しました。それから間もない寛永三年(一六二六)、貞隆の四男・義隆は、秋田城主・佐竹義宣の養子に迎えられ、野狐丸をもって婿入りしました。佐竹家ではそれを、元禄(一六八八)年間になると、本阿弥光忠のもとにやり、五十枚の折紙をつけてもらいました。明治になると、秋田市の辻家が譲りうけ、今日に至っています。

参考文献:日本刀大百科事典