刀の異名です。享保(一七一六)のころ、旗本・本多唐之助の家中・恵兵衛が夜道で、北国で名ある強盗・権房五左衛門に、酒手をねだられました。持ち合せがない、と断ると、大脇差で切りかかったので、抜き打ちに強盗を倒しました。しかし、自分の刀の柄を、刀の中心とも一寸(約三センチ)ほど切り落とされました。強盗の大脇差を持ち帰り、試し家に切り試しを依頼したところ、これは試すに及ばない。「せんずわり」という試し銘があるだろう、と言いました。中心を抜いてみると、果たしてありました。島原の乱のとき、多く斬って、特に刃味が良かったので、「せんずわり」の添え銘を入れたものでした。
参考文献:日本刀大百科事典