日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】七星

七星

刀の異名です。佐久間象山の嫡子の通称は慶之助、諱は恪です。父象山が元治元年(一八六四)七月十一日、京都において暗殺されると、父の仇を捜すため、母瑞枝と伯父・勝海舟が相談し、三浦慶之助と変名し、近藤勇新撰組に入れました。七条道場の前で、桑名藩士との喧嘩で、切り合いになりました。相手の刀が物打ちの下から折れました。慶之助がとび込んで、横に払ったところ、切先は門の柱に切り込んだが、相手の腕から乳の辺まで斬り通りました。慶之助の刀は肥後同田貫上野介、二尺三寸(約六九・七センチ)の豪刀、相手の刀は相州物らしかったです。戊辰の役には西郷隆盛の口ぎきで、越後方面軍に加わり、新潟県東蒲原郡津川町の攻略戦で、会津兵を二名斬りました。その時も良く斬れました。帰京後、有馬某に譲りました。中心に「七星」という金象嵌が入っていました。七星剣の意味で入れたのでしょう。慶之助は司法省に入り、愛媛県に勤務中、明治十年病没、三十余歳でした。

参考文献:日本刀大百科事典