日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】小螺丸

小螺丸

越中宇多友次作の太刀の異名です。異名はおそらく柄の目貫が螺貝の図だったのに因んだものでしょう。 北海道松前の藩主になった松前慶広は、もと蛎崎姓を名乗り、羽州檜山(秋田県能代市)にいて、安東愛季に仕えていました。政敵だった比内(秋田県北秋田郡)の郡主・浅利義正(義政)と和睦が成立し、義正が檜山にやってきた時、慶広の命をうけた深持季総は、酒をつぐふりをして、義正に斬りつけました。

その太刀先を外して、義正が逃げ出したところを、慶広が小螺丸をもって義正の高股を切って落とし、仕留めました。その記念の太刀は、慶広の嗣子・守広(盛広)が譲りうけていたが、慶長十三年(一六〇八)正月二十一日(二月六日)、火坑におちて早死したとき、ともに焼失しました。

参考文献:日本刀大百科事典